東京理科大学火災科学研究所実験棟は、大学に付属する火災科学研究専用施設の中で世界トップレベルの規模と機能をもつ実験棟として2005年 3月に竣工しました。実験棟は野田キャンパス内に位置し、建築面積約1500平方メートル、延べ面積約1900平方メートル、高さ約20メートルの規模を誇ります。火災科学分野において世界を先導する卓抜な研究の推進が可能な機能を備えるよう、火災科学研究所のメンバーがこれまでの経験基盤をもとに、基本計画設計を実施しました。
東京理科大学火災科学研究所実験棟は、その機能から高層棟と低層棟の2 つに大きく分けることができます。
高層棟は、床面積約1000平方メートル、天井高さが約18メートルという大規模実験室で構成されています。建築構造部材や材料の防耐火性能、可燃物の燃焼性状、煙流動性状などを実規模レベルの実験実施が可能となるよう設計されています。
本拠点では、理論と実践に基づいた教育研究を行うため、実験棟は下記に示す実験装置・器具を用い体験的な教育・研究を行うことができる環境となっています。
大規模実験室には、集煙フード、耐火炉をはじめ、火災研究を実施する上で不可欠な大規模な設備が配置されます。建築構造物の部材や架構を実規模で載荷しながら実施する構造耐火試験、オフィスなどを再現した実空間内の可燃物什器類の火災性状、アトリウムなどの大空間内の煙流動性状、さらには自動車の燃焼性状など、大規模空間を活かした実験が可能です。
低層棟は、多目的実験室、コーンカロリーメータ室、養生室(1)(2)、実験資料室、観測制御室、実験データ処理室、会議室、精密機器管理室、倉庫などで構成されています。
コーンカロリーメータ試験装置(ISO5660)
熱放射のある場での建築材料の着火性や発熱性を調べるための装置で、円錐形の電気ヒータの下に試験体を置き、ヒータから熱放射を加えつつ試験体表面上 10mm のところにパイロット炎を当てます。熱放射は0~ 50kW/平方メートルまでの範囲に設定でき、それぞれの熱放射での着火時間・発熱量を測定します。
PIV燃焼場測定システム
燃焼場や煙流動場のような流れ場の瞬間的かつ微細な速度の計測を行うことができるシステムです。具体的には、トレーサー(追跡用微細粒子)を流体に導入し、ストロボやレーザーなどの光源を打ち込み,その反射を超高速カメラで撮影することで瞬時に測定対象流れ場の速度に関する2次元情報を得ることができます。
二次燃焼炉
燃焼実験により発生する黒煙を含む燃焼ガスをフードにて捕集・排煙ファンで吸引して、二次燃焼炉で800℃に再加熱し完全燃焼させて消煙する設備です。加熱用バーナーは4台で480万kcal/h の容量を有しています。
中型複合炉
耐火性能を試験評価する設備であり、柱・はり・床・壁等のあらゆる構造部材に対応できます。
ISO834に定められた標準加熱温度及び炉内圧力を制御できる加熱設備です。加熱炉サイズは幅・奥行き・高さ1.5mとなっており、また急加熱も可能です。。
大型壁炉
建築の外壁材の火災における耐火性能を試験評価する設備であり、ISO834に定められた標準加熱温度及び炉内圧力が制御できる加熱設備です。壁面に20台のバーナーを配置して、加熱サイズは3.5×3.5mまで可能です。載荷加熱試験も可能です。
燃焼熱量測定用フード(5×5m)
室内の家具・備品等を燃焼させ、その燃焼ガスを捕集・分析し、燃焼特性を解析する装置です。ダクト内に燃焼ガスの流量測定及びサンプリング装置を装備しています。設計上の測定発熱量は最大2MWを想定しており、最大600㎥/minの吸煙量を設定できます。また、移動型4×4mも有しています。
火災実験用実大区画(散水設備対応)
幅6m×奥行き6m×高さ2.7mの室内を模擬した実規模火災区画であり、天井部にはスプリンクラー等の散水設備を設置することが可能です。主に、散水設備の消火性能実験に用いられる他,最近では散水設備を作動時の煙流動性状の実験が行われています。
ルームコーナー試験装置(ISO9705)
幅2.4m×奥行き3.6m×高さ2.4m( 約6畳) の空間に、幅0.8m×高さ2mの開口を設けた装置であり、室内に家具や壁紙等を配して初期火災から盛期火災を再現することが可能です。また室内全体が短時間で火炎に包まれるフラッシュオーバー現象も再現可能で、その時の燃焼ガス濃度、温度分布、室内映像も測定できます。
CAL試験装置(放射パネル)
本装置は、一定の熱流束を放射熱伝達で与えた状態において、可燃物の燃焼挙動を把握する装置です。
放射加熱を受ける部材の熱的挙動を調べることもできます。パネルヒーター部は、1750(W)×1380(H)の加熱面積を有し、表面温度を950℃に上昇させることにより、50kW/平方メートルの熱流束を可燃物に与えることができます。
多目的水平載荷加熱装置
本装置は、加熱と載荷の両機能を一体化することで、試験体対象部材に外部加力を与えながら耐火試験を行うことが可能な装置です。
建築物の水平部材「梁、床、屋根」及び垂直部材「柱、壁」など、建築物のあらゆる構造部材について、ISO834で提案されている試験体サイズに対し、規定の標準加熱温度曲線による耐火性能試験・評価に対応可能な設備です。
日時 | 来 訪 者 | 人数 |
---|---|---|
2019.6.13 | 一般社団法人日本CFS建築協会他 | 3 |
2017.11.25 | さくらサイエンスプログラム 韓国・台湾・ベトナム | 15 |
2017.11.20 | さくらサイエンスプログラム 西安交通大学 | 10 |
2017.6.30 | 一般社団法人日本科学機器境界技術委員会産学連携研究会 | 30 |
2016.12.2 | 公開実験「多目的水平載荷加熱装置での冷間成形鋼材を用いたパネル工法(壁・床)の載荷加熱試」 | 20 |
2015.10.20 | 中国科技大学 | 12 |
2015.10.8 | アジアオセアニア火災学会施設見学ツアー | 50 |
2015.9.16 | 台湾警察大学校国際交流プログラム | 7 |
2014.10.11 | さくらサイエンスプログラム ベトナム建設大学 | 14 |
2014.8.7 | オープンキャンパス | 39 |
2014.7.31 | 上海理工大学 | 38 |
2013.10.29 | 観光バス回転座席の燃焼性に関する公開実験 | 10 |
2013.8.8 | オープンキャンパス | 31 |
2013.4.17 | 中国同済大学 | 21 |
2012.11.14 | 公開実験 (東京消防庁:厨房ダクト火災実験) | 20 |
2012.8.7 | オープンキャンパス | 86 |
2012.7.6 | 文部科学省 | 2 |
2012.7.1 | 日米ワークショップオプショナルツアー | 21 |
2011.10.7 | 東京消防庁・日本厨房工業会 | 7 |
2011.9.12 | 北九州市立大学・大分工業高等専門学校 | 5 |
2011.8.8 | オープンキャンパス | 67 |
2011.7.6-7 | 電線工業会 公開実験、見学会 | 7 |
2011.6.9 | 東京理科大学基礎工学部・材料工学科 | 3 |
2011.3.16 | 共同利用・共同研究 公開実験 (電気盤実大燃焼実験) →中止 | – |
2011.2.2 | 共同利用・共同研究 公開実験 (THz帯電磁波検証実験) | 25 |
2010.11.26 | 産学官交流シンポジウム | 36 |
2010.11.9 | 日本難燃剤協会 | 16 |
2010.11.5 | 北九州市立大学 | 5 |
2010.8.7 | オープンキャンパス | 40 |
2010.7.23 | 茨城県立竹園高等学校 | 3 |
2010.4.11 | 日本ボーイスカウト千葉県支部 | 150 |
2010.3.8 | 多目的水平載荷加熱試験装置火入式 | 43 |
2010.3.5 | 日本原子力技術協会 | 12 |
2009.12.24 | カンウォン大学 | 5 |
2009.10.31 | 本学薬学部 | 10 |
2009.10.29 | 野田市南部地区「家庭教育学級」 | 80 |
2009.10.27 | マテリアルライフ学会 | 16 |
2009.10.8 | 日本防災士機構 | 5 |
2009.9.11 | 日本建築学会 | 10 |
2009.8.28 | 千葉科学大学教授、香港城市大学教授 | 2 |
2009.8.21 | 大阪市消防局・留学生研修会 | 15 |
2009.8.8-9 | オープンキャンパス | 80 |
2009.7.25 | 生涯学習親子科学教室 | 90 |
2009.7.21 | 埼玉県立浦和第一女子高等学校 →中止 | – |
2009.2.12 | スイス工科大学/東京工業大学 | 5 |
2008.11.2 | 東京理科大学こうよう会東海支部 | 40 |
2008.8.8-9 | オープンキャンパス | 80 |
2008.7.25 | 埼玉県立春日部高校父母 | 80 |
2008.3.13 | 中国・西安工業大学 | 20 |
2008.3.12 | 国際シンポジウム招聘講演者 | 10 |
2008.1.25 | 中国・太原理工大学 | 30 |
2007.11.23 | 東京理科大学こうよう会 | 29 |
2007.11.9 | 野田市消防本部 | 3 |
2007.11.7 | 茨城県立鉾田第一高等学校 | 39 |
2007.10.9 | 群馬県立前橋南高等学校 | 13 |
2007.10.2 | 受託研究関係者 | 39 |
2007.9.26 | 野田市教育委員会 | 18 |
2007.8.10 | オープンキャンパス | 95 |
2007.8.9 | オープンキャンパス | 32 |
2007.6.29 | 栃木県立黒磯高等学校PTA | 29 |
2007.6.20 | 理窓技術士会 | 8 |
2007.5.15 | 受託研究関係者 | 36 |
2007.5.1 | 千葉県野田市消防本部 | |
2007.4.23 | 東京理科大学留学生会 | 30 |
2007.3.6 | 岡山学芸高等学校 | 41 |
2007.2.19~22 | Asian Fire Testing Workshop | 13 |
2006.10.26 | 茨城県立並木高等学校 | 40 |
2006.10.8 | ホームカミングデー来校者 | 100 |
2006.9.3 | オープンキャンパス来校者 | 51 |
2006.8.7 | オープンキャンパス来校者 | 123 |
2005.12.21 | 兵庫県加古川市消防本部予防課 | |
2005.11.17 | 本学125周年記念記録DVD撮影 | |
2005.11.17 | 茨城県立緑岡高等学校 | 48 |
2005.10.19 | 新潟県立直江津高等学校 | 39 |
2005.9.27 | 福岡県立鞍手高等学校 | 33 |
2005.7.26 | オープンキャンパス来校者 | 60 |
2005.7.26 | 群馬県立高崎高等学校Dグループ | 21 |
2005.7.26 | 群馬県立高崎高等学校Bグループ | 22 |
2005.7.8 | 私工大懇話会施設連絡会 | 31 |
2005.4.25 | 東京理科大学留学生会 | 15 |
2005.3.19 | 東京理科大学卒業生の会 | 15 |
2005.3.8 | 第2回国際シンポジウム参加者 | 120 |