「専門知の共有に基づくアジアの火災安全情報拠点」が、平成25 年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に採択されました。これは平成20 ~ 24 年度のグローバルCOEプログラム「先導的火災安全工学の東アジア教育研究拠点」の成果や大学の十分な支援体制が高く評価され、国際的に卓越した拠点づくりが可能であると認められたからです。
安全・安心への配慮は社会発展の要であり、本学は国内外において火災工学分野の中核として貢献してきました。最近、特に東アジアでは、日本がこれまで経験してきたよりも急激な都市化が進行し、近代都市施設において石油製品等の燃焼を伴う火災・爆発による重大な死亡・損害が多発し、リスクが巨大化しています。本学の火災安全工学に関わる教育研究分野は、この喫緊の事態に対処していく義務があり、同時に将来の火災事故の変質を予測し、それを防止するための革新的教育研究システムづくりに一層努めていくことが期待されています。
本プログラムでは、グローバルCOE プログラムの活動等で得られた先導的研究成果を活用し、以下2つのテーマを柱として研究を進めていきます。
テーマ1 ネットワークの構築と分析~火災リスク分析
テーマ2 火災危険事象の分析
第一のテーマである「ネットワークの構築と分析」では現在公開しているホームページ「Forum on Fire Safety in Asia(アジア火災安全情報拠点)」を運用し、アジア圏の火災研究者間で火災情報の交換とその対策法の相互検証を目的とします。第二に「火災危険事象の分析」では日本の火災被害の歴史とその克服過程を分析して報告することによりアジア全体の火災安全向上に繋げていきます。
このように本プログラムにより得られる成果は、国内外、特に東アジア地域における火災安全に大きく貢献するものと確信しております。
火災科学研究所長 萩原 一郎